タヒチアンダンス

タヒチアンダンス|Tahitian

タヒチアンは、フラのルーツとなる踊りで似ているように見えますが、タヒチとハワイのそれぞれで
独自に育まれたダンスです。
ナチュラルでエネルギッシュ。フラと一緒に学べる教室もあります。

タヒチアンダンスの起源

エリス諸島、サモア諸島、トンガ諸島、クック諸島、マルケサス諸島、ツアモツ諸島など、太平洋のポリネシアのほぼ真ん中にあるタヒチ島で生まれたタヒチアンダンスは、神への祈りと、仲間同士の娯楽としての意味と両方を持っています。その歴史はフラより古く、ハワイに流れ着いたタヒチアンダンスやポリネシア文化がその後、ハワイの中でさらに独自の文化へと変化・成長し、そこから生まれた踊りがフラとなったといわれています。フラとタヒチアンは、ルーツが同じでも違う舞踊です。
音楽や打楽器のリズムに合わせて、腰と手を使って様々なステップを踏み、歴史や言い伝え、親から子への語り伝えなどをジェスチャーで伝えたことが始まりだと言われています。

踊りの種類

タヒチアンダンスは、大きく分けて「オテア」と「アパリマ」の2種類があり、打楽器のリズムだけで、腰を激しく動かす踊りが「オテア」。元々は戦士の踊りで、男性の踊りでした。もうひとつの「アパリマ」は手で表現するという意味で、歌詞のある楽曲を使用し、スローテンポな踊りです。アパ(話)+リマ(手)はまさにダンスの特徴を伝える言葉で、この「アパリマ」がフラのベースになったと言われています。タヒチアンの基本ステップの中には、フラと全く同じものもあるので、フラ教室でタヒチアンも一緒に指導しているところもあります。
このほかに、近年ハワイで生まれたタヒチアンダンス「アフロア」は、現代フラ「アウアナ」と同じく、日々進化し続けています。

美しくなれるダンス

タヒチアンは、フラに比べて動きが速く激しいため、数分踊るだけでそれなりの運動量になるので、若い人向きと言われています。ダンスの特徴として激しく腰を動かすので、腹筋や側筋、股関節周りの筋肉を頻繁に使い、たくさんの汗もかきます。この結果、体の代謝が良くなりいろいろな部分が引き締まってくるので、腹筋が割れてきたという人もいます。特に「オテア」で最もよく使う腹筋はタヒチ筋とも呼ばれ、美しく引き締まったお腹周りがどれだけ踊ってきたかの証拠でもあるとされています。
激しい動きを支えるために全身の筋肉トレーニングが必要とも言われていて、ダンス以外のメニューを独自に組み立てて練習する人も多く、この結果、体幹が整えられ姿勢を自然とよくしてくれたり、太りにくい体になったりするとも言われています。

現代につながるタヒチアンダンスの歴史

タヒチアンダンスはフラと同じように19世紀初頭になるとキリスト教宣教師たちが、官能的でかれらの道徳に反するダンスを、島の人々のキリスト教への改宗とともに禁じるようになりました。1819年には王ポマレ2世が「ポマレ法」を発行し、この中で全ての歌、ダンスなどの芸能を古い悪い習慣として禁止しました。これに対して、1840年に政府が当時「ウパウパ」と呼ばれていた娯楽のダンスを認め、1895年には「オリラア・タヒチ」と呼ばれ、フランス革命の記念式典などでも正式に認められ、現代まで大切に保存され、発達し続けているダンスです。1956年にマドレーヌ・モウアが率いるダンスグループ「ヘイヴァ」が誕生しタヒチ観光の発展とともに公共のダンスとしての地位も得て今に至ります。現代のタヒチアンダンスの衣装としてポピュラーなココナッツブラやモレなどはこの頃に取り入れられました。

タヒチアンダンスの衣装

ル・グラン・コスチューム(アフ・オリ):華やかで大きなヘッドドレスと腰の動きを強調するモレがティリーフ(アウティ)や自然素材で作られたフリンジスカートに付いたものにイイと呼ばれるハンドタッセルなどを手に持つスタイルでセレモニーで多く着用されます。自然素材であることが大切で、タパ(桑の木の樹脂繊維・染料としても使われる)、モレ(タヒチ語でプーラウ:ハイビスカスの樹皮繊維)、ニアウ(若い椰子の葉)、シダ、オプヒ(ジンジャー)、羽、貝等が使用されます。
アパリマでよく使われるのはパレオ(布)を使ったもので、華やかで大柄のものを思い描きがちですが、基本は無地とされています。中でも「青」はタブーとされています。柄の入ったものを使用する場合は、ティアレや、タパ柄などポリネシアにちなんだものをセレクトすることをおすすめします。
アフロアは、パレオでできたロングドレスを指し、花柄で、レースなどでデコレーションしたものに、花の冠(フラで言うハク)や帽子をかぶります。
現地では天然素材を使い自作で衣装を用意することが当たり前で、ベルトや腕につける飾りなども皆で協力して作るのだそうです。青や鮮やかな緑がタブーとされているのは、植物染料では抽出することができないため、自然ではないとコンペの審査などで判断されてしまうことが理由です。フラと比較して衣装がナチュラルに見えるのは、こういった考え方が基本になっているからです。

どっちを習うか悩んでいるなら

幸せなことに日本のフラ教室、タヒチアン教室では、両方を教えてくれるところがたくさんあります。ココナッツブラで踊ってみたい。でもカヒコもかっこいいからやってみたい。気軽な気持ちでポリネシアンダンスに触れていただくことは大歓迎です。大切なのはやってみようという気持ちです。どんな方も、すぐにかっこよく踊れるようになるわけではありませんが、比較的ゆっくりとした動きの要素が多いので、ほかの舞踊に比べ、年齢に関係なく始められます。また、広い年齢層のダンサーたちが揃っているので、あなたにとって舞踊家としてのピークがいつ訪れるかは、だれにもわかりません。一緒に踊りましょう。あなたをお待ちしています。

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