カヒコ

古典フラダンス|Hula Kahiko(フラカヒコ)

フラには2つのジャンルがあります。
ひとつは古典フラ「カヒコ」もうひとつは現代フラ「アウアナ」
カヒコはどんな踊りなのでしょうか。

フラの起源はカヒコから

1874年にカラカウア王禁止令を解くまでの何十年か滅亡していたフラを復活させるまではカヒコしかありませんでした。ハワイの伝説によると、最初にフラが踊られたのは、ハワイ島東南部のプナという地区といわれています。キラウエア火山のハレマウマウに住む火の神ペレにはヒイアカという美しい妹がいました。ヒイアカの友人の詩人ホポエが体を緩やかに揺すり、踊り始め、その場に一緒に居たヒイアカに教え、家に戻りペレにこれを伝えたとされています。

どんな踊りなのでしょうか

この古典フラは、ハワイ語でオリを一定のリズムで詠みあげてから、打楽器だけの素朴な音色で緩急を交えたチャントに合わせて踊る力強いダンスです。(クムが踊り手を踊らせる時や踊り手自ら唱えながら踊る詠唱をチャントとよび、カヒコを踊る前に唱えるのものをオリと呼びます。そのためオリには踊りが伴いません。)
このチャント(詠唱・ハワイ語でOli(オリ))のなかに、ホポエ、ヒイアカ、ペレ、に加えてフラの守護神であるラカを賛美しつつ舞います。同時に、宗教的、詩的、呪詛的な芸術であり、神に祈り、病を癒やし、心身を清めてもうらうことを目的としています。ほかに生活を祝ったり、チャントに乗せて、いろいろな言い伝えを話すことも含まれる宗教的な踊りで、享楽的なものではありませんでした。フラを指導するこの頃のクム・フラは、厳格な規律による指導を行い、修行は禁欲的で出歩くことは許されず、怠惰な者は破門されたといわれています。カヒコを踊るときは、必ず神殿(ヘイアウ)にマイレ・イエイエ・パラパライ(羊歯)のレイを捧げたと言われています。
チャントを唄うのはクム(先生)で、普通の歌を歌うのとは違う独特の呼吸法と技法が使われています。カヒコのシンプルで力強い雰囲気は、見ている人に大きな感動を与えます。大勢の踊り手が一緒にチャントを唱えることもあるので、声の持つバイブレーションが観衆に与えるエネルギーから高揚感を感じられます。カヒコを踊りたいと、フラを始める人のきっかけになる踊りです。

カヒコの楽器

代表的なものはヒョウタンで作るイプ・ヘケです。大きなヒョウタンの中をくりぬき、これを手でたたいたり、床にたたきつけたりしながら一定のリズムを刻み、これにあわせてクムがチャントやオリをうたいます。このほかには椰子の木からつくられるパフドラムです。彫刻をほどこした胴に鮫の皮を貼ってつくられています。これらの打楽器には神が宿っていると言われていて、壊すと神が逃げてしまうと考えられているので、大切に扱われます。

カヒコの装束

定番とされる衣装はティを100~200枚集めてスカートとするグラスパウを身につけ、そのほかに、足→手→首→頭の順にパラパライやマイレなどのレイを身につけます。近年では女性もカヒコを踊るようになり、女性用の衣装としては、グラスパウを使う場合もありますが、自然に近い色のパウやオーバーパウなどを手作りするという教室もあるようです。このカヒコは、ハワイ語を覚える必要があり、動きにテクニックと体力も求められるので、上級者向きの踊りです。

メリーモナークフラフェスティバル

ハワイでの最大のフラコンペティションは毎年4月にハワイ・ヒロで開催されるメリー・モナーク・フラフェスティバルです。このコンペはハワイでは重要な文化的行事で、ハワイはもちろん、世界中でフラを教えるクムがヒロ公会堂に集結し、1,000人以上のダンサーが優勝目指してしのぎを削ります。
19世紀の後半に、禁制とされていたフラを、カラカウア王(1836-1891)が復活させました。カラカウア王は華やかで陽気な生活を送っていたため、メリー・モナーク(陽気な君主)と呼ばれていたことから、そのまま大会のタイトルとなっています。この大会で優勝したハーラウ(教室)は、名声を手にできるのと、ミスアロハフラと呼ばれる女性のソロダンサーに与えられる賞を得れば、将来の栄誉が約束されていると言われています。初代(1971年)のミス・アロハフラは、アロハ・デリレイ(ダリレイ1960-2014)で、64歳で亡くなるまでハワイだけでなく日本や世界から尊敬を集め、その一族はフラの名門として今も特別な存在とされています。
審査される対象は、作詞・作曲・衣装・振り付けなどで、その年の曲や衣装、踊りのトレンドとして、日本のフラ教室の運営にも大きな影響を及ぼしており、この時期は、日本のフラ指導者のほとんどがヒロに行ってしまいます。ハワイのクムたちが、真剣に戦う場でもあるので、フラの真実の芸術美を見られる唯一の場とも言われています。近年では、ミスアロハフラに、日系人も選ばれています。このステージに立つことは、フラダンサーのあこがれであり、このメジャーなステージを目指す日本人ダンサーもたくさんいます。

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